ドイツから来日されたマルティナ・シックパネン氏は、以前横浜に住んでいたこともあるそうで、私たちとは英語と日本語でお話してくださいました。 インタビューを通じて『ドイツとチーズ』に対してのイメージが一新される興味深いお話を聞くことができました。

①今回の来日の目的を教えてください。
自社商品を扱っているいないに関わらず日本の店舗を回り、日本の市場調査ために来日しました。昨日は、三越、松坂屋、伊勢丹その他スーパーを見ました。 勿論、取引先の会社の方に会うのも目的のひとつです。

②日本の店舗のご感想は？
綺麗でわかりやすい陳列で、店員の方がフレンドリーですね。 日本のサービスはパーフェクトです。 でも少し（値段が）高いところもありますね。

 

③ヨーロッパの中でもドイツという国から、あまり「チーズ」というイメージがないのですがドイツではどんなチーズが好まれていますか？
ドイツはヨーロッパの中でも一番のチーズ生産国であり、色々な種類があるんですよ。中でもハードタイプのチーズが一番多いです。 朝食や子供達のお弁当には、パンにバターを塗ってチーズを挟む簡単なのもから、トマトやオニオンとチーズを挟んだサンドウィッチが定番です。

④ドイツではどんな時、どんな風にチーズを食べるのか教えてください。また、ドイツと言えば「ビール」のイメージが強いですが、どんなお酒と合わせるのでしょうか？
確かに10年前はビールの方が多く飲まれていましたが、今はワインの消費量も増えてきたんですよ。 朝食や子供達のお弁当に、パンにバターを塗ってチーズをのせた簡単なもの、さらにトマトやオニオンをのせたオープンサンドが定番です。茹で上げたパスタにチーズを絡めたり、グラタンやチーズスープなど料理にも使います。 最近ではワインの消費量が増えてきたので、ビールのほかにワインとも合わせます。

⑤ここまではドイツの一般的なチーズについて伺いましたが、御社のチーズのことを教えてください。まず、セールスポイントは？
ナチュラルなミルクを使うことです。 可能な限り牛は放牧して、生えている草を食べさせています。今の時期なら、花や新芽を食べています。契約している120の農家からは朝夕2回、当日搾乳したミルクを集め、その日のうちに全て生産工程に入ります。

 

⑥サイレージフリー（サイロで発酵させ、長期保存を可能にした飼料は使わない）での牛の飼育は非常に手間がかかって大変だと聞きましたが、あえてサイレージフリーにこだわっているのはなぜですか？
サイロで飼料を貯蔵しておくと、草が悪いバクテリアを持つことがあるので、搾乳したミルクは特別な処理をしないといけないのです。そういう処理の必要がない、よいミルクが取れるように牛を育てています。

⑦また、ルードヴィヒ王の肖像を使用できる唯一のブランドと聞きましたが、何かゆかりがあるのでしょうか？
第一には、ルードヴィヒ王が生まれたお城の近くにチーズの熟成庫があったからです。 王はビール工場を持っていて、そのビールを製造過程で使っていました。それが今でも続いているので肖像使用ができるのです。 ※ルードヴィヒ王ゆかりの“ビアケーゼ（ドイツ語でビールチーズという意味）”は今後オンラインショッピングに登場する予定です。

⑧ご自身の一番好きなチーズは？
自社製品の中ではビアケーゼが一番好きですが、その他のチーズの中ではアミノ酸がクリスタル状になっているような長期熟成タイプが好みです。 シュトゥットガルトの赤ワインは重く深い味わいでとてもおいしいのですが、それらのワインにとてもよく合います。 シックパネン氏おすすめの赤ワインHPはこちらです。

⑨最後に、日本のチーズファンにメッセージをお願いします。
是非ドイツに来てください。 私は日本が大好きなので、ドイツの文化を日本に伝えたいという意思で、この仕事をしています。文化を伝えるには、食べ物を通して胃に訴えるのが一番ではないかと思っています。 でも、ドイツに来てチーズを食べて、ビールを飲んでこのアルプスの空気をじかに感じて欲しいと思います。

シックパネンさんは、やさしいお母さんという印象の女性でした。 「牛にはそれぞれ個性があって、アナやマリアと名前を付けて呼んでいるの。」「『トロリンガー』という品種の葡萄を使ったワインは軽い赤ワインでおいしいから、飲んでみて。」「白ワインに炭酸を入れてシャンパン風に飲むと美味しいですよ。」と話す姿は、まさしく“やさしいお母さん”でした。